行政訴訟判決
- ◆S54. 6.13 東京高裁 昭和52(行ケ)140 選挙無効請求事件(16)
選挙における議員定数配分規定の違憲性が争われた事実に係るものであるが、そこで説かれた前述の法理は参議院(地方)選出議員選挙における議員定数配分規定の違憲性が争われている本件事案においてもそのまま適用されるべきものである。
けだし、衆議院に対する参議院の独自性を生かす必要はこれを認めることができるとしても、投票の価値の平等がわが憲法上の要請であることを承認する以上、わが憲法が衆参両院ともに「公選制」を採用していることは明白であるから、投票の価値の平等の原則が単に衆議院においてのみではなく、参議院の議員定数配分においても妥当するものと解すべきことは当然であるからである。すなわち、参議院議員選挙に関する事項の決定につきわが憲法が国会に与えた権限は右の憲法上の要請下においてのみその行使が認められるにすぎないもので
ある。
以上
原告準備書面 (五)
ふたたび公職選挙法別表第二の違憲性について
−右別表制定に用いられた手法による議員配分の検証を通じて
一 現行公職選挙法別表第二は、その前身である参議院議員選挙法(昭和二二年法律第一一号)の別表をそのまま受け継いだものである。そしてその別表は、行政区割主義と人口比例主義に拠つて作成されたものである。
この点をやや具体的に述べれば、選挙区割については既存の行政区割である都道府県をそのまま用い、議員数配分については地方選出議員総数を一五〇としたうえ、当時の全人口を一五
〇で除して得た数で、各選挙区の人口を除して算出した数を、各選挙区の議員数を偶数とするとの前提の下に四捨五入的手法によつて整数化するという操作によつたものであつた。
(註一)この方法によつて選挙区割および議員数の配分を決定したことの当否(たとえば、人口差の著しい選挙区を作ること自体、「投票価値」の平等という観点から充分の疑問をさしはさみ得よう。)(註二)はひとまず措いて、そこで作成された右別表が各選挙区毎の議員数と選挙人数もしくは人口の割合を一定化すべしとの憲法上の要請(人口比例の原則)からあながち遊離したものだつたとはい
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