行政訴訟判決
- ◆S54. 6.13 東京高裁 昭和52(行ケ)140 選挙無効請求事件(17)
い得ないであろう。
しかるに、右別表作成後のはげしい人口の増加および移動にもかかわらず(選挙人数の変化について前記第一回選挙時を一〇〇として本件選挙時のそれを示せば、全国総数において一九一・二二であり、東京都選挙区において全国増加数の一四・七四%を、神奈川県選挙区においてその八・八八%を吸収している。)、無慮三〇年の永きにわたつて右別表の改訂がなされなかつたため、本件選挙時においては原告準備書面既述のごとき憂うべき事態が発生したものであることは明白である。(註三)
二 参議院の組織面における衆議院に対する独自性の表れとして三年毎の半数改選という憲法上の要請が存在し(同第四六条)この要請が複数選挙区制における議員偶数制の採用を容易にする作用を営むことは肯き得るところである。(註四)
そしてこの議
員偶数制の下では、「投票価値」の平等という代表民主制における大原則は、偶数制を採らない場合に比して、実質上、緩かなものにならざるを得ないであろうから、それだけに厳格な遵守が要求されるものと解さなければならず、また、解散による総選挙の可能性が常に存する衆議員と異なり、三年毎に必ず存するがその間隔が狭められる可能性の全くない通常選挙制による参議院においてはその厳格な遵守を実行するための立法措置は著しく容易であるといわなければならない。
三 そこでわれわれは、既存の選挙区をそのまま用い、かつ、現行の地方選出議員総数をも固定して、前記別
表第二制定時に用いられた議員配分の手法によつて、本件選挙時において容易な実践が可能であつた立法措置を検証する。
すなわち、この場合、本件選挙前にすでに公表されていた昭和五〇年国勢調査の結果に基づく各都道府県の人口数を用い、かつ、現行の議員総数一五二を、都道府県毎に偶数となるよう人口に按分して割当てる作業を次のとおり実施する。
(一) 右国勢調査の結果に基づく総人口一一一、九三九、六四三を、議員総数一五二の半数七六で除して一、四七二、八九〇・〇四を得る。これが議員一人当りの人口数であり記号「M」で表わすこととする。なお、右に
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