行政訴訟判決

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  • ◆S54. 6.20 東京地裁 昭和51(行ウ)48 法人税額更正処分等取消請求事件(13)

 

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旨に照らし「事業の用に供した」ものということはできない旨主張する。
確かに、成立に争いのない甲第一九号証の一、二、乙第一ないし第七号証によれば、これらの規定が被告主張のような趣旨のもとに立法されたものであることが認められ、他方、「事業の用に供した」という要件は文言自体において疑義を生ずる余地のないほどに一義的ではないから、その解釈適用にあたつて右の立法趣旨を参酌すべきであることはいうまでもない。したがつて、例えば、不動産貸付以外の事業目的を有する法人が右事業に付随して買換資産を取得の相手方に賃貸したような場合に、これを当該法人の「事業の用に供した」ものと認めるべきか否かは、右立法趣旨との関連を離れて決することはできないであろう。
しかしながら、本件においては、前記のとおり、不動産賃貸業を目的とする原

告が取得に係る買換資産を事業目的のとおりに他に賃貸し賃料をあげているのであつて、原告の立場においてみるならば、まさに買換資産を直接自己の「事業の用に供した」ものにほかならず、右賃貸の相手方が取得の相手方と同一人で、買換資産の現実の使用状況に変化が生じないことを理由として明文の定めなくこれを否定することは、許された解釈の域を超えるものといわなければならない。また、立法趣旨との関連においてみても、本件買換えによつて、賃貸収入の取得という原告の本来の事業目的の用に直接供すべき資産が更新され、新資産が現実にその目的のために利用されているのであ

るから、右規定の狙いとする産業設備の整備・更新、資本の活用が図られたというに妨げないのである。
それゆえ、被告の右主張は採用することができない。
3 次に、被告は、原告の本件買換資産の取得及び貸付が専ら租税回避を目的とした恣意的な取引であり、そうでないとしても、都自動車の金利負担を軽減させこれに金融上の利益を与えることを目的とした取引であるから、旧措置法六五条の四、五の規定の適用はないと主張する。
しかしながら、租税特別措置法は一定の政策的理由から税負担の減免を定めたものであるから、納税者が専らその適用を受けることを

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