行政訴訟判決
- ◆S54. 6.20 東京地裁 昭和51(行ウ)48 法人税額更正処分等取消請求事件(8)
日建設省告示第一、五五二号に定める仲介手数料額を大きく下廻るものであるから、このような事情のもとでは、右二、〇〇〇万円は損金に算入される事業経費というべきものである。
二 圧縮記帳否認について
1 被告は、本件買換資産について原告のなした圧縮記帳を旧措置法六五条の四、五の規定の立法趣旨に反するとして否認するが、これらの条文は一読して明らかなように明確かつ一義的であり、そこにことさら立法趣旨を持ち出して解釈しなければならない必要性は毫も存しない。被告の主張は租税法律主義に反するものであり、到底許容できるものではない。
2 仮に、旧措置法六五条の四、五の規定の立法趣旨が被告主張のとおりであり、また、その立法趣旨によつて適用範囲が画されるとしても、前記のとおり、原告は不動産の賃貸、管理等を目的とする
会社であるから、原告が都自動車から本件買換資産を取得し、これを都自動車に貸し付けて賃料収入を得ることは、不動産について新たな需要や利用関係が生じ資本の活用が図られたものというべきである。けだし、不動産貸付業者が空室のビルを取得しこれに入居者を募集して家賃収入を得るのと、ビルを譲渡した相手方にそのまま貸し付けて家賃収入を得るのとは、不動産貸付業者にとつてはその経済的効果は全く異ならないのであり、経済的効果が異ならないのであれば、その取得のための資本の活用の効果もまた異ならない筈である。したがつて、右貸付が「事業の用に供した」ことにあたる
のは当然である。
3 被告は、原告の本件買換資産の取得及び貸付が租税回避のための恣意的取引であると主張する。
しかし、原告が本件買換資産を取得したのは、本件不動産等を手放したことに伴い新たな営業用資産を必要としたからであり、また、都自動車も負債が多額にのぼつていたことから、本件買換資産を売却しその代金で一部でも債務を弁済し、それによつて金利負担を減少させ経営内容の健全化を図る必要性に迫られていたからにほかならない。そして、本件買換資産の売買代金も賃料も相当なものであつた。都自動車は、本件買換資産を譲渡することによつて、その
おすすめサイト