行政訴訟判決
- ◆S54. 6.13 東京高裁 昭和52(行ケ)140 選挙無効請求事件(26)
うするかは、原告主張の如き単なる数字の操作の問題ではなく、全国区の定数如何とも関連し政治のあり方を規定し、政治の根幹に関わるものであつて、それは常に政党並びに国民の真摯な関心事であり、高度の政治問題として立法府が自ら解決すべき筋合の問題であつて、憲法上も立法府にその解決が委ねられており、その上、司法はその可否を審査するに必要な明確な判断基準を当然持ち合せていないとともにそのため必要な諸資料を持ち合せていないから、かかる請求は司法審査になじまないものとして棄却しなければならない。
1 憲法第八一条は具体的訴訟事件につき裁判所に違憲立法審査権を認めているが、三権分立が憲法の原則である以上その審査権には自ずから限界があり、立法府自らの解決が要請される高度の政治問題については立法府の専権事項として司法判断が不適合
とされている。この点については既にいわゆる砂川判決等において判例上も認められているところである。
2 憲法第一五条、同第四一条乃至第四四条及び同第四七条は国会議員の定数、選挙人並びに被選挙人の資格、選挙区及び投票の方法等選挙制度に関することはすべて法律の定めによるとし、選挙権被選挙権の資格につき人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならないと規定しているにとどまり、選挙権の内容につき特段の定めをしてはいない。
3 勿論憲法第一四条に基づく平等条項が存在し、選挙権等についても基本的にはその平
等な行使が法律上認められねばならないが、選挙制度は、国の政治の根幹に関わる問題なので、政局の安定をはかりながら、しかも少数意見をも国政に適正に反映せしめ得るような代表制度を、その国民を代表する国会議員によつて確立させることとした方がより望ましいため、選挙制度全般を立法府の裁量権限としたものである。ところで、現行参議院議員選出制度は右憲法の要請をふまえ参議院が衆議院に対し、第二院的性格を有すべき点も考慮し、選出母体を全国区と地方区の二本立として一人二票制をとり、全国区と地方区の議員配分を一〇〇対一五〇とした上、地方区は都道府県単位とし、
おすすめサイト