行政訴訟判決

行政訴訟判決

  • ◆S54. 6.13 東京高裁 昭和52(行ケ)140 選挙無効請求事件(27)

 

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半数改選制度をとり入れた。その結果、都道府県の人口数如何にかかわらず各地方区ごとに最低二名、必ず偶数の定員が必要となり、選挙区間の不均衡はさけられない制度となつた。しかして、このように選挙区を全国区と地方区の二本立とし、かつ、地方区の単位を都道府県とした所以のものは地方区を都道府県の地域代表的性格を持たせる制度とすることによつて公正かつ効果的な代表制度の確立が可能との理由に基くものである。従つて、その後人口の大都市並びにその周辺への移動の結果、人口比だけからみた場合、議員一人当り人口の最高と最低の選挙区間の較差が大きくなりその不均衡が増大したとしても、もともと人口数の如何にかかわらず、最低二名という下限が制度上必要不可欠なものである以上、最高と最低を比較すること自体無意味であり、地方区が地域代表的性格を帯びる以

上人口流出の結果過疎となつた選挙区の地域的意見こそ全体としては一層尊重されなければならないから、その減員など考慮の外というべきであり、減員が不可能な以上増員など全く考えられないからである。なぜかなら、参議院の地方区は全国区との対比においてその定数が一五〇と確定されているからである。従つて不均衡の選挙区の増員を求めることとなる原告等の主張は、前記地方区の制度上の性格から考え容認し難い議論というほかない。
参議院議員選挙制度が確立して以来三〇年を経過しているがその間その選出方法に関し一回の改正も行われていない。要するに、三〇年間全く

改正がなされなかつたということは、単なる人口数というような数字的較差のみを原因として安易に改正することは適当でなく、憲法上その権限が与えられている国会において、複雑な諸要素を総合調整し、これをなすべきことを意味しているものと解すべく、現に国会においては、種々検討中であるから国会以外の機関が安易にその違憲性を云々すべき筋合のものでなく、軽々にこれをなすことは国会の自由裁量権の侵害というべきである。
4 また立法府にその解決が委ねられている事項につき仮に裁判所が違憲判断をなし得るとしても、その為には少くとも裁判所にその判断の為の明確

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