行政訴訟判決
- ◆S54. 6.13 東京高裁 昭和52(行ケ)140 選挙無効請求事件(28)
な基準が存しかつその判断に適合する実効性が保障されているという要件が充足される場合に限られるものと考える。本件の如き選挙区別定数の不均衡の是正は上述した如く憲法上立法府にその解決が委ねられており、仮に裁判所がその是非を判断し得るとしても裁判所はその違憲の限界を示す明確な基準を持ち合せておらず、その上違憲として選挙を無効としてみたところで新たな立法措置が講じられない限りその是正は不可能なことである。前記のように、選挙制度の改正には国会における相当長期の慎重な審議が必要であることを仮に考慮しないとしても、現実問題として現在の如く与野党間の議員数の接近した段階に於ては、定数是正の内容如何がその勢力関係に直ちに反映するのであつて、従つて、かかる政党間の厳しい対立状態を想定した場合、裁判所の意向を酌んで国会により直ちに定
数改正がなされると期待することはむしろ幻想に近く、切角の裁判所による選挙無効の判断も、単なる宣言効にとどまり、その是正の為には全く効果がなく、かえつて選挙の無効を宣言した結果本来定数不足として増員が認められるべき選挙区につき全の代表を失わしめるという結果が招来され、かくなつてはかかる請求を認めた意義が全く没却されてしまうものであつて、この点から考えても、本件の如き請求は司法審査不適合として棄却をすべきものである。
被告準備書面 (二)
参議院議員選出方法についての制度上の特質については、既に準備書面(一)2以下で陳述したと
ころであるが、念のため再論する。
一 憲法第四三条、同第四四条及び同第四七条は参議院議員の定数、選挙区その他右選挙に関する事項は法律でこれを定めると規定している。これはいうまでもないところであるが、公正且つ効果的代表制度の確立を国会に一任している趣旨であり、その制定法にして前記制度目的に背馳していない限り、その制度に対する非難攻撃はたかだか立法政策の当否の問題たるにとどまり、司法判断の対象とはなり得ない。
二 参議院議員の定数並びにその選出方法は次のような諸点を綜合し、昭和二二年二月二四日(法律第十一号)成立をみたものであ
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