行政訴訟判決

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  • ◆S54. 6.13 東京高裁 昭和52(行ケ)140 選挙無効請求事件(29)

 

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る。即ち、1 参議院が衆議院に対する第二院的性格を帯びる故、諸外国に多く、その例をみるようにその議員定数を衆議院の三分の二以下の少数とすること。
2 少数とはいつても議案の審議等議会活動に支障を及ぼさないためには相当数の定数が必要であり、結局二五〇人が妥当であること。
3 全国区、地方区の二本立制度としたのは、これが衆議院とは別箇の選出方法であつて、しかも国民代表たるにふさわしい選出方法であること。しかして、全国区一〇〇人地方区一五〇人とした所以は学識経験のある全国的に有力な議員を得るには一〇〇人程度が妥当であり、且つ、地方選出議員の数より何がしか少なくした方が適当であること。
4 地方区を都道府県の行政区画単位の選挙区とし、地域代表的性格を持たせることが、全国区と対比し、公正且つ効果的代表制

度として適当であること。
5 半数改選制とするため、地方区はその人口数の如何に拘らず各選挙区に最低二名の定員が必要であり、結局最低二名最高八名の範囲内で人口数を加味して定数配分すること。要するに、地方区は全国区と一体となつてその国民代表制度としての意義を有するものであり、しかも、地域代表性格を持ち、必ずしも人口数のみに依拠し決定をみた制度ではないのである。
なお、上記の如き地方区の制度上の特質は参議院議員の選挙区及び各選挙区別議員数に関し、衆議院のそれにおいて規定されている「国勢調査の結果によつて、更正することを例とする。

」という如き規定が存在していないことからも窺知し得る。
三 参議院議員制度確定後三十年以上を経過し、人口の都市並びにその周辺への移動の結果、参議院議員地方区の選挙区別議員一人当り人口にある程度の較差が生じた。そして、それを根拠とする違憲論も平等という形式的見地のみに立脚した場合、それなりの理由があるというべきかも知れないが、前述した如く参議院議員の定数制度は全国区と地方区の二木立とし、しかも、右両者を一体として制度化されたものであるから、地方区の定数の是非は、常に全国区との関連において、両者の綜合的考察から結論づけらるべきもので

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