行政訴訟判決
- ◆S54. 6.13 東京高裁 昭和52(行ケ)140 選挙無効請求事件(30)
あつて、地方区のみを抽出し、その是非を論ずべき筋合のものではなく、その上地方区はもともと地域代表の性格をもつものとし、必ずしも人口数のみに依拠して制度化されたものではないのであるから、人口流出によつて過疎となつた選挙区の意見を単なる人口数の移動というだけの理由で制限するのは適当ではなく、むしろ、かかる過疎地域の意見こそ制度上尊重する措置が必要であるという意見も公正且効果的代表制度の確保という見地からは充分考慮に価するそれといわなければならない。更に、又右両論を踏まえ、改正するとすれば全国区と共に全体を総合的に検討した上のことであり、それまでは現状のままであえて改正を要しないとすることも前記地方区制定の趣旨にかんがみ決して不合理なものとはいい難く、現に国会が種々検討を経つつも改正に踏み切らないのは、右事由に基くも
のと国会審議等から充分推測し得る。従つて、本件の如き不改正の是非を論ずることとなる請求は、結局立法政策の当否を論ずることに帰着し、司法審査の対象とはなり難い。
被告準備書面(三)
裁判所よりの釈明につき、・のとおり陳述する。
一 参議院制定当初における議員定数についての考え方、その割振り、並びにその改革に関する各界の論議のあらましは乙第一乃至同第四号証(枝番を含む)のとおりである。
二 昭和四〇、四五、五〇年施行にかゝる国勢調査結果に基く都道府県別人口数は別表のとおりである。
以上
○ 理由
一 本件訴の適法性についての判断
原告ら(別紙各選定者目録記載の者を含む)が、いずれも昭和五二年七月一〇日に行われた本件選挙において東京都選挙区の選挙人であつたことは当事者間に争いがない。
原告らは、本件選挙における各選挙区間の議員一人当りの有権者分布差比率が最大五・二六対一に及んでおり、また議員一人当りの全国平均有権者数を超えて過少代表となつている選挙区が存在しており(その詳細は、別紙(二)の原告準備書面(二)参照)、これは明らかになんらの合理的根拠に基づかないで住所(選挙区)のいかんにより一部の国民を不平等に取り扱い、
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