行政訴訟判決
- ◆S54. 6.13 東京高裁 昭和52(行ケ)140 選挙無効請求事件(32)
に、議員定数配分規定の違憲を理由とする訴について公選法第二〇四条の適用を認めることは、むしろ憲法の要請にそうといえこそすれ、民衆訴訟である同条の不当な拡張解釈というには当らない、というべきである。
被告の前記本案前の申立は、以上の説示と相反する見解に立脚するものであつて、採用のかぎりではない。
よつて、本件訴は適法といわなければならない。
二 本案についての判断
(一) 憲法第一四条第一項、第一五条第一項、第三項、第四四条の規定は、少くとも選挙人資格の差別の禁止あるいは一人一票の原則(選挙権行使の平等)を意味するものであることはいうまでもないが、憲法上選挙人の資格による差別が許されないとともに、住所(選挙区)による差別も許されないと解すべきであるから、右各規定は、単に選挙権の行使の平等を
保障するにとどまらず、選挙権の内容の平等すなわち各選挙人の投票が選挙の結果に及ぼす影響力においても平等であること(投票価値の平等)を保障する趣旨をも包含しているものと解すべきである。
従つて、本件選挙が、各選挙区間の議員数配分の不均衡を理由として違憲となるか否かについて判断するにあたつては、本件議員定数配分規定に従つて執行された本件選挙における各選挙区の選挙人の有した投票価値が憲法の右保障に合致する平等なものであつたか否かについての検討を必要とするものというべきである。
(二) ところで、本件議員定数配分規定が、右に述べた
意味における投票価値の平等の要請に合致しているか否かは、必ずしも常に右規定の定める定数配分が各選挙区の人口数に比例しているか否か、すなわち例えば、原告らの主張するように「議員一人当りの有権者分布差比率の大小」あるいは「議員一人当りの全国平均有権者数を超えて過少代表となつている選挙区の有無」等の判断基準のみによつて決せられるべきものとはいえない。
なんとなれば、一般に議員定数の配分は、その有する機能等に応じて一定の配分原則に基づいてなされているべきはずのものであり、従つて、本件議員定数配分規定において前述の投票価値の平等が保障され
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