行政訴訟判決

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  • ◆S54. 6.13 東京高裁 昭和52(行ケ)140 選挙無効請求事件(34)

 

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いないとしても、右の原則に基づいてなされた各選挙区間の具体的配分定数が、憲法の選挙権平等の要求に反するといい得る程度に不合理なものであつたか否か、(ハ)右具体的配分数が制定当初においては不合理なものではなかつたとしても、その後の社会的状況の変動により、これに対応する政策的裁量を考慮に入れても、本件選挙当時には、一般的にはその合理性をとうてい肯認できない程度に明白に不合理なものとなるに至つていたか否か、という諸点から判断して、これを決すべきものである。
(三) そこで、右の見地に立つて、先ず本件議員定数配分規定がいかなる配分原則に基づいて定められたかについてみることとする。
成立に争いのない乙第二号証の一、二(自治省選挙課長大林勝臣「参議院議員の選挙制度をめぐる論議(1)」全国市区選挙管理委員会編、昭

和五三年一月一五日発行「選挙時報」二七巻一号二頁)によると、本件議員定数配分規定のとつた配分方法は、当時の資料上、どのような論議のもとに採用されたか必ずしも明らかではないのであるが、臨時法制調査会が「定数の最少限の割当は各選挙区につき二人、爾余は、各都道府県における人口に按分し、偶数を附加する。」旨答申しており、また、所管大臣が、「各選挙区において選挙すべき議員の数は、最近の人口調査の結果に基づいて各都道府県の人口に比例して、最低二人、最高八人の間において、半数交替を可能ならしめるが為それぞれ偶数となるように定めることとした。」旨の提

案理由説明をしていることが認められる。
右事実と本件議員定数配分規定とを併せてみると、右規定は、各都道府県をそれぞれ一選挙区とし、総定数を一五〇人(制定当初)としたうえ、一定の枠内(最少人口区でも定数を二人とし、各選挙区とも偶数)においてではあるけれども、人口比例の原則に基づいて定数配分をしたものであつて、他の別異の原則によつたものではないことが認められる。
(四) ところで、右人口比例の原則による本件議員定数配分規定の合理性についてみるに、国会が右のような原則を定数配分の基準として採用することは、もとよりその裁量の限界を

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