行政訴訟判決
- ◆S54. 6.13 東京高裁 昭和52(行ケ)140 選挙無効請求事件(36)
ず、これを偶数で人口比により配分すべきこととなり、過疎地、過密地の人口差が著しくなつた現在、人口比例の原則を貫くには技術的に格別の困難を伴うに至つていることを認めなければならない。このことは後に(六)において述べるように人口比例を志向する原告準備書面(五)の試案においてすら、なお、四・一七対一という格差が残ることからも窺い知られるところであろう。
かような技術的困難性に加えて、参議院議員選出議員の地域代表的性格等参議院の特殊性を合わせ考えると、前記議員一人当り有権者数の格差のみから直ちに本件議員定数配分規定が憲法の平等原則に違反するに至つていると断ずるには疑問があるといわねばならない。
(2) しかし、前記当事者間に争いのない別表(二)により認められる本件選挙時における各選挙区の有権者数と本件議員定
数配分規定の各選挙区の議員定数を対比してみると、本件選挙時においては、人口数の多い選挙区の議員定数が、人口数の少い選挙区の議員定数よりも少くなつているという人口数と議員定数との間におけるいわば逆転現象ともいうべき人口比例の原則に全く背反する事態が多数生じていることが明らかである。
すなわち、神奈川(有権者数四四五万人。万未満切捨、以下同じ)が議員定数四人であるのに対し、福岡(三〇四万人)、兵庫(三四七万人)、愛知(四〇一万人)は議員定数がそれぞれ六人であり、北海道(三七一万人)は議員定数八人で、いずれも神奈川に対して有権者数と議
員定数との関係が逆転している。また、前記の愛知、神奈川のほか、大阪(五六〇万人)は議員定数六人で、それぞれ東海道との間で逆転し、埼玉(三三〇万人)は、議員定数四人で、福岡との間で逆転している。その他、岐阜(一三〇万人)は、議員定数二人で、栃木(一一九万人)、熊本(一二二万人)、鹿児島(一二二万人)、群馬(一二三万人)の議員定数各四人との間で逆転し、宮城(一三七万九九八九人)は、議員定数二人で、右の栃木以下の各選挙区のほか岡山(一三〇万人)、福島(一三七万六六五七人)の議員定数各四人との間で逆転している(なお、右に示した逆転現象は、弁論
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