行政訴訟判決

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  • ◆S54. 6.28 大阪地裁 昭和49(行ウ)33 法人税更正処分取消請求事件(8)

 

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・・した」と認められることを要件としているから、譲渡者の側に時価を認識しながらあえて低額で譲渡したという事情がなければならない。そうでないと、例えば調査不十分のため低額で譲渡したというような場合にまで、右規定の適用によつて課税されることになり、これは明らかに不合理である。
さらに、その当然の前提として、譲渡の対象物件について客観的に認識できる時価が形成されている必要がある。
(二) 原告会社がピーエル農場へ本件土地を譲渡した時点では、本件土地の坪当り三、〇〇〇円という時価は形成されておらず、また、原告会社の役員、担当者はもとより右のような時価を認識していなかつた。被告の主張は、結局、本件土地及びその周辺の開発計画の対象地域内の土地について、近く近鉄が一律に坪当り三、〇〇〇円の価額で買収することが決ま

つていたということを根拠とするものであるが、原告会社が本件土地を譲渡した時点では、買収価額は決定しておらず、公表されてもいなかつた。
(三) (1)原告会社がピーエル農場に本件土地を譲渡したのは昭和四五年三月一九日であり、代金は一億七、三四八万八、五三五円(坪当り八五七円)であつた。
ピーエル農場がフードサプライに本件土地を譲渡したのは同月二〇日であり、代金は二億二、六二二万四、三九五円(坪当り一、一一八円)であつた。
(2) 右のように、原告会社からピーエル農場へ、ピーエル農場からフードサプライへと、転々譲渡した理

由は、次のとおりである。すなわち、
原告会社は、繰越欠損のある関係会社に本件土地を売却して譲渡益を取得させるべく、まず、原告会社が本件土地の取得価額に年ほぼ一〇パーセントの金利を加えた前記代金額で本件土地をピーエル農場に譲渡し、ついで、ピーエル農場がその取得価額にほぼ繰越欠損金額に見合う金額を加えた前記代金額で本件土地をフードサプライに譲渡した。こうしてピーエル農場の繰越欠損についてはただちにこれを消滅させ、フードサプライの繰越欠損については将来の値上りを待つこととなつた。
(3) なお、本件土地については昭和四三

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