行政訴訟判決

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  • ◆S54. 6.28 大阪地裁 昭和49(行ウ)33 法人税更正処分取消請求事件(4)

 

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発計画は、昭和四四年二月ころ、訴外上野市の協力の下に近鉄が行うことに右の両者の間で合意が成立した。そして、開発計画は同年三月二〇日には公表され、新聞紙上にも報じられた。
(ウ) 当時の上野市長訴外Aは、同年四月ころ、当時の近鉄社長訴外Bに面会し、開発計画の対象地域内の土地の買収価額として坪当り三、〇〇〇円程度が必要と思われる旨告げ、B社長もこれを了承した。
(エ) 上野市の担当職員は、同年五月以降、買収のための下準備、事前調査を行つた。
(オ) 近鉄側の買収を担当する訴外近鉄不動産株式会社(以下近鉄不動産という)の専務取締役訴外Cらは、同年八月二六日、現地を視察したが、その際、上野市側から買収価額は坪当り三、〇〇〇円程度が相当であるときかされた。
(カ) 近鉄は、同年一〇月一五日、開発計

画区域内の土地の買収を上野市に委託する旨の用地買収委託契約をした。
(キ) 上野市は、右契約に基づいて、同年一一月ころから買収予定地の地主に対する説明会を地区ごとに開催するとともに、地主の希望する買収価額の把握に努めた。
(ク) 上野市側は、これらの説明会の席上の感触から、ほぼ坪当り三、〇〇〇円が相当であるとの考えをもつた。このようにして、同年一二月ないし昭和四五年一月ころには、坪当り三、〇〇〇円の時価は既に形成されていた。
(ケ) 上野市は、同年三月二五日ころ、最終的に買収価額を一律に坪当り三、〇〇〇円として、近鉄

に申し入れることに決定した。
(コ) A市長は、同年四月九日ころ、近鉄に右の買収価額案を示し、近鉄もこれを了承した。そして、同年五月二五日以降、右価額により一斉に土地の買収が行われた。なお、対象地域内の土地の中には、昭和四四年中に先行買収が行われたものもあり、その価額は坪当り三、〇〇〇円に満たなかつたが、後日一律の価額で買収が行われることになつた場合は差額を填補するとの約定があり、右約定は実行されたので、結局、対象地域内の土地は一律に坪当り三、〇〇〇円で買収されたことになつた。
(サ) ところで、近鉄は、本件土地(ただし、

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