行政訴訟判決
- ◆S54. 6.28 大阪地裁 昭和49(行ウ)33 法人税更正処分取消請求事件(5)
別表(一)番号12ないし19の土地を除く)についても、フードサプライから昭和四五年九月、坪当り三、〇〇〇円(ただし立退料等の補償金を除く)で買収した。
その余の本件土地(別表(一)番号12ないし19の土地)は、原告会社が昭和四一年五月坪当り二、七八〇円で取得したものであるが、昭和四五年七月フードサプライから訴外Dに坪当り一万〇、五九〇円で譲渡された。(3) 実質的に贈与したと認められる金額
本件土地の譲渡価額が時価に比して低額であつたことは前述のとおりであり、この差額は関連法人の赤字補てんの目的で実質的に贈与されたものと認められるから、寄付金に該当することとなる。
(4) 原告会社の時価の認識
(ア) 法人税三七条六項の立法趣旨は、低額譲渡は、時価で取引をしてそのうちから金銭で差
額分を贈与した場合と変わらないので、このような場合と均衡を保つて税の公平な負担を図ろうとするところにある。したがつて、右規定の解釈は、税の公平な負担という見地からされるべきであるし、その適用も、譲渡価額と客観的な時価(正常な取引における価格)との比較によつてのみなされるべきである。
ところで、譲渡の時における価額すなわち時価とは、客観的な市場価格、あるいは課税時期においてそれぞれの財産の現状に応じ不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額、あるいは再購入価格である等と説明されている。したがつて、
時価とは、客観的に想定される価格であつて、取引当事者が認識していた価格である必要はない。
また、法人税法三七条六項が「実質的に贈与・・・・・・と認められる」と規定しているのは、当該取引に伴う経済的効果が贈与となんら異るものでないときは、実質的贈与と認める趣旨のものであり、実際に納税者の贈与の意思を要件としているものではない。
したがつて、本件でも、原告会社が本件土地を譲渡した時点で本件土地の時価を認識していなかつたとしても本件処分の正当性を何ら左右しない。
(イ) 仮に、法人税法三七条六項適用の要件として、取引当事者
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