行政訴訟判決

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  • ◆S54. 6.28 大阪地裁 昭和49(行ウ)33 法人税更正処分取消請求事件(6)

 

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が譲渡物件の時価を認識していることが必要であるとしても、原告会社にはその認識があつた。その理由は次のとおりである。
(1) 原告会社は、昭和四四年七月ころから、その経営する黒岩牧場の敷地を含む本件土地を、原告会社とその関連会社のグループ(以下ミキグループという)の赤字補填のため、売却する計画を有していた。
(2) ミキグループの実質的な代表者であつた訴外Eは、かねてから上野市議会議員であつた訴外Fと懇意であつたが、昭和四四年九月ころ、本件土地の売却のあつせんをFに依頼した。
(3) このころ、前述のように、既に近鉄の開発計画の大要は公表されており、問題は買収価額であつた。
買収価額については、表面上は秘密にされていたが、昭和四四年暮には市議会の席上でA市長が、坪当り三、〇〇〇円になる旨言

明するなど、陰に陽に関係者の間に広まつていつた。
(4) Fは、市議会議員としての立場からもこれらの事情に精通していたので、Eに遂次これを通報していたものと推認されるのであつて、原告会社が本件土地をピーエル農場に譲渡した昭和四五年三月ころには、Eや、原告会社の経理担当者である訴外Gは、本件土地の買収価額が、坪当り三、〇〇〇円を下回らないことを知つていたものと推認される。
(5) 原告会社は、本件土地をピーエル農場、フードサプライと転々譲渡したのは、これらの会社の赤字解消のためであるというが、それは不合理である。すなわち、仮

に赤字解消のため系列会社間で転売して計算上の収益を上げたにしても、最終的な第三者の売却先が予定されないでは、このような操作は意味がない。
なぜならば原告会社、ピーエル農場、フードサプライと適当な価格で転売したことにして帳簿上操作したとしても、最終的に第三者に転売できなければ、その企業にとつての赤字の解消にはならないのだから最終的な転売先のあてもないのに帳簿操作をすることは考えられない。この場合の帳簿操作は、転売先も売買価格も予定できる時に、実際の取引価格にあわせて数次の売買が繰り返されたかのように帳簿上の外形を整えることによつて

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