行政訴訟判決

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  • ◆S54. 6.26 東京高裁 昭和52(行コ)56 所得税更正処分等取消請求控訴事件(5)

 

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としこれを資産の取得費として控除することを否認したことについて当事者間に争いがない。)。
そして、控訴人は、昭和四六年一一月二日、本件土地につき右信用金庫の抵当権設定登記の抹消登記を経由し、昭和四七年一月一二日、本件土地につき訴外Fに対する所有権移転登記を経由した。
右認定事実によれば、控訴人は、昭和四三年七月二九日訴外Cほか二名から農地法第五条の許可を条件として本件土地を代金八七四万四四〇〇円で買い受け、同年一一月二一日同条の許可を受けて、同年一二月三日本件土地につき共有者全員持分全部移転登記を経由した上、同月一〇日訴外川崎市信用金庫のため本件土地につき抵当権を設定して、同月一一日右抵当権設定登記を経由した後、同月一四日右信用金庫から二五〇万円を利息日歩八厘四毛の約定で借り受け、同日右借入金二五〇

万円と合せ五七四万四四〇〇円を訴外Bらに支払つて本件土地の買受残代金を完済し、同日から昭和四六年一一月一日までの間に右借入金利子六二万八六二九円を右信用金庫に支払つたというのであり、また、控訴人は、本件土地を自己使用の目的すなわち非業務用の資産として取得したのであつて、控訴人が本件土地につき訴外Bらから持分全部移転登記を経由し、直ちに右信用金庫のため抵当権設定登記を経由した経緯に照らせば、控訴人は、右持分全部移転登記を経由したことにより本件土地の処分権限を完全に把握し、同時に本件土地の引渡しをも受けたものと見るのが相当である。

三 ところで、譲渡所得に対する課税は、資産の値上りによりその資産の所有者に帰属する増加益を所得として、その資産が他に譲渡されて所有者の支配を離れるのを機会に、右増加益の所得を清算して課税する趣旨のものである(最高裁判所昭和四七年(行ツ)第四号同五〇年五月二七日第三小法廷判決・民集二九巻五号六四一頁参照)から、この趣旨を基礎として考察を進めるに、所得税法第三八条第一項の規定に照らせば、資産を取得するための借入金の利子が、右条項にいう「設備費及び改良費の額」に当たらないことは文理上明らかであり、この点に関し他に法令上別段の定めをした規定は

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