行政訴訟判決
- ◆S54. 6.26 東京高裁 昭和52(行コ)56 所得税更正処分等取消請求控訴事件(7)
要経費について規定する所得税法第三七条に関し、「業務の用に供される資産の取得のために借り入れた資金の利子は、当該業務にかかる各種所得の金額の計算上必要経費に算入する。ただし、当該資産の使用開始の日までの期間に対応する部分の金額については、当該資産の取得価額に算入することができる。」(同基本通達三七−二七)と定め、この定めに対応して、譲渡所得の金額の計算上控除する取得費について規定する同法三八条に関し、「固定資産の取得のために借り入れた資金のうち、当該固定資産の使用開始の日までの期間に対応する部分の金額は、業務の用に供される資産にかかるもので三七−二七により当該業務にかかる各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるものを除き、当該固定資産の取得費又は取得価額に算入する。」(同基本通達三八−七)と定めているが、これ
らの基本通達の趣旨は、業務用資産についてはその使用開始以後には使用に対応する事業収益が考えられるから、当該納税期間中に支払われる借入金利子を当該期間の事業遂行によつて生じた費用として当該事業にかかる各種所得の計算上必要経費として控除することができるとしているものであつて、これら基本通達からも、資産取得のための借入金の利子支払と右取得との間の相当因果関係を本質的には否定しない趣旨を汲み取ることができるのである。(ちなみに、法人税の場合には、いずれも成立に争いのない乙第八号証の一ないし三、同第九号証の一ないし五によれば、法人税の取扱につい
ての通達(昭和三四年直法一−一五〇)一一五条において、取得資産の使用開始前の借入金の利子についてこれを資産の取得価額に算入して控除するか使用開始以後の分と同じく資産の維持または管理の費用として損金に算入するかは法人の任意処理にまかされる旨が定められていたところ、現行の法人税基本通達(昭和四四年直審二五)制定の際に前記通達一一五条の定めは削除されることになつたが、この点については一般に公正妥当と認められる会計処理に従つて差支えないものとし、課税行政実務上通達をもつて定めることをしないが従来の取扱いを変更する趣旨ではなかつたことが窺えるの
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