行政訴訟判決

行政訴訟判決

  • ◆S54. 6.26 東京高裁 昭和52(行コ)56 所得税更正処分等取消請求控訴事件(12)

 

前ページへ  次ページへ

原判決のいうとおり是認されるとしても、これらの場合の納税主体としては借入金利子支払額をその年の必要経費として総収入金額から控除する余地が考えられるのであるから、これらと制度の本質を異にする譲渡取得の場合、ことに本件のような非業務用資産の場合の取得費についての法律解釈が右と同様になされなければならない理はないわけである。
また、租税特別措置法施行令第一九条第三項が所得から控除すべき費目を規定するにあたつて、同項第一号に「当該土地の譲渡等に係る土地等の原価の額として所得税法第三八条第一項〔譲渡所得の金額の計算上控除する取得費〕の規定に準じて計算した金額」を掲げるのと別に、同項第二号に「その年中に支払うべき負債の利子の額のうち、当該土地の譲渡等に係る部分の金額」を併記していることから、負債の利子を取得費に含めな

いのが所得税制立法の建前であるとの推論が一応考えられるが、右負債の利子は当該土地の譲渡等に係つて支出されるものであつて、取得原価を構成すべき負債利子のみを指すものとは文理上解せられないから、右のような推論は当をえないものといわなければならない。さらにまた、同施行令第二二条の八第八項第一号においても「土地の取得に要する費用の額」とその「費用に充てるための借入金の利子の額」とが併記されていることが認められるが、同号の規定文言から明らかなとおり、右借入金の利子は、土地の取得のほかに、その造成、分譲、当該事業に要する一般管理費をも含め、これら

の費用に充てるためのものとして掲げられているのであるから、この規定をもつてしても、本件借入金利子と取得費との関係についての前示判断を動かすべき根拠とはなしえないものといわなければならない。
(五) なお、控訴人が本件借入金の債権担保のための抵当権設定、代物弁済予約仮登記の費用として一万五三四〇円を、本件借入金債務返済契約の公正証書作成費用として五三〇〇円を支出したことは当事者間に争いがないが、これらの費用は、その本来の性質上、債権者が貸付債権を確保するために要するものであつて、当該資産の取得との間に借入金利子の場合のような相当因

前ページへ  次ページへ





おすすめサイト