行政訴訟判決
- ◆S54. 6.26 東京高裁 昭和52(行コ)56 所得税更正処分等取消請求控訴事件(15)
三〇円
(一) 原告がその所有する東京都世田谷区<地名略>ほか二筆の土地公簿上二一四、三五平方メートル (以下、「本件土地」という。)を訴外Fに譲渡したことによる本件譲渡所得の金額の算出根拠は次のとおりである。
(1) 譲渡収入金額 一五、七〇〇、〇〇〇円
(2) 取得費(取得価格、仲介手数料、農地転用許可申請手数料、所有権移転登記費用、整地等費用)九、二九八、八三〇円
(3) 譲渡費用 五四四、二四〇円
(1) −((2)+(3)) 五、八五六、九三〇円
(二) 原告は本件譲渡所得の金額の計算に当たり借入金利子六四九、四五三円を取得費に算入すべきであると主張するが、借入金利子は譲渡収入金額から控除すべき取得費には当たらないというべきである。
譲渡所得課税の本質
は、資産の保有期間中に逐年生じた資産の値上りによる増加益に担税力を認め、逐年その増加額を査定して課税することが技術上困難であるところからその資産がたまたま所有者の支配を離れて他に移転するのを機会に、これを清算して課税しようとする一種の清算課税である。所得税法が譲渡所得の金額の計算に当たり、資産の譲渡による収入金額から控除する取得費を当該資産の取得に要した金額並びに設備費及び改良費の額に限定している(所得税法三三条三項、三八条一項)のはそのためであり、したがつて、右にいう資産の取得に要した金額とは、その資産の購入代価、製作原価、登録費用
、不動産取得税等当該資産を取得するために直接必要とした金額、換言すれば当該資産の客観的価額の一部を構成する支出をいうと解すべきである。ところで、借入金利子は資産の取得に要する資金を他から借り入れたことによつて支払われるものであるから、資産の取得と直接には結びつかず、むしろ当該資産を保有するための維持費にほかならないというべきであるから、当該資産の取得費を構成するものではない。仮に、これを取得費に算入するとすれば、固定資産税その他当該資産の維持、管理等のために要した費用も取得費に算入しなければならないこととなり不合理な結果を招来する。し
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