行政訴訟判決
- ◆S54. 6.26 東京高裁 昭和52(行コ)56 所得税更正処分等取消請求控訴事件(18)
正証書作成費用 五、三〇〇円
右借入金債務の返済契約についての公正証書作成費用である。
2 被告は、借入金利子は資産の取得と直接には結びつかず単なる維持費にすぎないとして、その取得費算入を否定するが、これは所得税基本通達三八−七、同三八−八と矛盾するのみならず、(1)本件土地の取得は二、五〇〇、〇〇〇円の借入金がなければ実現しなかつたこと、(2)本件土地が取得と同時に右借入金の抵当物件とされたこと、(3)借入金の元利金の支払が当初の約定どおり行われ、累積された利子が支払われていないことなどに照らすと、本件土地の取得と借入金との間に「ひも付き関係」が存在することは紛れのない事実であり、さらに、この種の借入金には利子の支払義務が伴うのが至極当然のことであるから、資産の取得と借入金利子とは直接に結びついて
いるというべきである。また、被告は取得費とは資産の客観的価額の一部を構成する支出であることを必要とすると主張するが、そのように解する合理的理由がないばかりか、被告が取得費にあたるものとして例示する登録費用や不動産取得税はいずれも資産の取得の結果支出するもので取得に要する費用ではなく、まして資産の客観的価額の一部を構成する支出ということのできない性質のものである。これらを取得費に当たるとする以上、借入金利子をこれらと区別して取得費に含まれないとする合理的根拠はない。
ところで、今日では資産を購入する場合、「ローン」若しくは「賦払」
の手段を利用するのが通例であるが、そのいずれの手段を利用しても実質的には変わるところがなく、即金の代価よりも金利及び手数料など相当額だけ高くなるのが通例である。そして、そのいずれの手段を利用した場合であつても、譲渡所得の計算上利子等相当額を当然に取得費に算入すべきであつて、これを算入しないときは、いわば幻の所得に課税することとなる。前記基本通達三八−八が賦払の契約により購入した資産にかかる金利と代金回収のための手数料等相当部分を取得費と認めており、この賦払の場合と本件のようにローンを利用して資産を購入しその利子を支払う場合とを別異に取
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