行政訴訟判決

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  • ◆S54. 6.26 東京高裁 昭和52(行コ)56 所得税更正処分等取消請求控訴事件(19)

 

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り扱うことは租税負担公平の原則からいつて違法である。
このように、借入金利子は取得費に算入されるべきであつて、前記基本通達三八−七が使用開始の前後で取得費に含めるか否かを決しているのには何ら合理性がなく、さらには、被告の主張する同通達の「使用開始」とは土地についてはその取得のときであるという解釈もまた合理性がないというべきである。
六 原告の反論に対する被告の認否
1 原告の反論1のうち、原告がその主張のとおりの金員を支出したことは認めるが、それが取得費に当たるとの主張は争う。
2 同2は争う。
第三 証拠関係(省略)
○ 理由
一 請求原因1の事実、被告の主張1及び2の(一)の事実はいずれも当事者間に争いがない。
二 そこで、本件譲渡所得の金額の計算上、原告の主

張する借入金利子ないし借入金債務に関連する費用(借入金債務担保のための抵当権設定等登記費用、借入金債務返済契約についての公正証書作成費用)が、本件土地の取得費に算入されるべきか否かについて判断する。
1 借入金利子について
(一) 原告が本件土地の購入資金として昭和四三年一二月一四日川崎信用金庫登戸支店から二、五〇〇、〇〇〇円を借り入れ、右借入日から昭和四六年一一月二二日までの間の借入金利子として合計六四九、四五三円を支払つたことは当事者間に争いがない。
(二) 所得税法三八条一項は、譲渡所得の金額の計算に当たり資産

の譲渡による収入金額から控除する取得費の範囲を資産の取得に要した金額と設備費及び改良費の額とする旨定めているが、これは、譲渡所得が不動産所得、事業所得又は雑所得のごとく投下資本の生産力による収益ではなく、資産そのものの騰貴により逐年発生している増加益であつて、しかもその資産が所有者の支配を離れて他に移転するのを機会にこれを清算して課税することとしている関係上期間計算に親しまない性質のものであるということに基づくものと解される。このように譲渡所得の本質が資産の保有期間中の値上り益に対する清算課税であるとするならば、所得税法三八条一項にい

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