行政訴訟判決
- ◆S54. 6.26 東京高裁 昭和52(行コ)56 所得税更正処分等取消請求控訴事件(20)
う取得費たる「資産の取得に要した費用」とはその資産の取得の時までに、その取得のために直接必要とした費用、すなわち、その資産の購入代価及び購入手数料、登録費用等購入に直接付随する費用をいうと解するのが相当である。
ところで、資産を購入するための借入金に対する利子は、当該資産の購入に付随して直接支出するという性質のものではなく、資産の購入に要する支出にあてるための資金を他から借り入れたことによつて支出するものであるから、資産の購入との関係ではそれはあくまで間接的な支出にすぎないというべきであり、これをもつて資産を取得するために直接必要とした支出ということはできないし、また、負債利子は一般に原価性を有しないと解されていること(所得税法施行令一〇三条、一二六条の規定によれば、借入金利子はたな卸資産、減価償却資産の
取得価額に含まれないと解される。)から考えても、借入金利子は所得税法三八条一項にいう「資産の取得に要した費用」には当たらないと解するのが相当である。そして、借入金利子が設備費や改良費に当たらないことはその性質上いうまでもないから、結局、借入金利子は、現行法上、譲渡所得の金額の計算上譲渡収入金額から控除すべき取得費には含まれないというべきである。
したがつて、被告が本件更正処分において原告が支出した借入金利子六四九、四五三円につき本件譲渡所得の金額の計算上これを控除しなかつたことに違法はない。
(三) なお、所得税基本通達(
昭四五・七・一直審所三〇)三八−七は「固定資産の取得のために借り入れた資金の利子のうち、当該固定資産の使用開始の日までの期間に対応する部分の金額は、業務の用に供される資産にかかるもので三七−二七により当該業務にかかる各種所得の金額の計算上必要経費に算入されたものを除き、当該固定資産の取得費または取得価額に算入する。」としており、税務行政上非事業用資産についても使用開始前の借入金利子を取得費に算入することを容認する取扱いをしていることが窺われるが、これは、その制定の経過に照らすと、法人税の場合に使用開始前の借入金利子につき取得価額に算入
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