行政訴訟判決
- ◆S54. 6.26 東京高裁 昭和52(行コ)56 所得税更正処分等取消請求控訴事件(21)
するか費用に算入するかを全く法人の任意処理にまかせている取扱いをしており、また、個人の事業用資産についても右法人税の場合に準じて取り扱つているので(所得税基本通達三七−二七)、これらと比較して非事業用資産について異なる取扱いがなされる不都合を避けるために租税負担の公平の見地から調整を図つた税務政策上の措置にすぎないというべきである。そして、右通達にいう「使用開始の日」とは社会通念上当該固定資産を使用し得る状態となつた時を指すと解すべきであるところ(このように解さないと当該資産を全く使用しないまま他に譲渡した場合には使用開始の日がないこととなり、通達の規定が無意味なものとなるし、また資産を直ちに使用した場合と社会通念上使用し得るにもかかわらず長期間未使用の状態を継続し、譲渡の直前に何らかの用途に供した場合とで取得
費に算入される借入金利子の金額が異なるという不都合を生ずるからである。)、これを土地の場合についてみると、土地はその現況自体に本質的変更を加えずに使用する限り、何時でも使用し得る性質のものであるから、その使用開始の時は原則として当該土地の所有権が移転され、引渡しがなされた時と解するのが相当であり、証人Gの証言によれば、税務行政上も概ねそのような趣旨で取り扱われていることが認められる。
ところで、原本の存在及び成立に争いのない乙第一号証、第二号証の一、二、成立に争いのない乙第三ないし第五号証及びその方式及び趣旨により公務員が職務上
作成したものと認められるから真正な公文書と推定すべき乙第六号証によれば、原告は昭和四三年七月二九日売主である訴外Cとの間で農地法五条の農地転用許可を停止条件とする本件土地の売買契約を締結したが、その所有権移転の時期については特段の合意をしなかつたこと、昭和四三年一二月三日農地転用許可書が交付され、同日所有権移転登記手続を了したことを認めることができ、右認定に反する原告本人尋問の結果は前掲乙第六号証に照らしにわかに措信し難く、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。
右認定した事実によれば、原告は売買契約の効力が生じた昭和四三年一二月
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