行政訴訟判決
- ◆S54. 6.27 東京高裁 昭和53(行コ)40 告示無効確認請求控訴事件(2)
たかも昭和四一年法律第九三号借地法等の一部を改正する法律附則八項の規定によつて本件告示改正前の『従前の統制額を超えて賃料を提供あるいは供託しなくても契約を解除されない法的地位』というものが保障されていたかのように主張するが、右規定は、地代・家賃の増額について当事者間に協議がととのわない場合に裁判確定に至るまでの間賃借人が一応暫定的に支払つておくべき地代・家賃の額を単に抽象的に令による統制額をもつて基準とするということを定めるにすぎないものであり、当然のことながら裁判確定に至るまでの間には事情の変更により右の統制額に変動がありうることを前提とし、統制額に変動があつたときは賃借人はその時々における統制額を支払うべきことを意味するものであつて、かつ右の理は本件告示改正の前後においても変わりない。従つて、本件告示の改正
による統制額の変動は右附則八項との関係における賃借人の地位にいささかも法的変動を与えたものではない。」
二 原判決二二丁表一〇行目末尾に次のとおり付加する。
「従つて、賃借人は、賃料が裁判等で決定される場合でも令の存在が前提となり、少くとも令の趣旨が尊重され、統制額も考慮されるという意味で令により利益を保護された地位を有しているというべきである。さらに、裁判によらない増額請求がなされた場合には、賃借人は統制額によつて直接に利益を保護されているのである。それ故、控訴人らは、まさに、従前の統制額を超える賃料を請求されないという
法的地位を有しているといえる。」
三 原判決二三丁表六行目から九行目の「考え方がある。」までを次のとおりに改める。
「しているのである」と解する考え方(香川保一 「借地法等の一部を改正する法律逐条解説」法曹時報一九巻七号五〇頁)がある。
」
四 原判決二四丁表二行目末尾に次のとおり付加する。
「そして、賃貸人より賃貸借契約を解除した場合に、賃借人が解除の当否を争う過程で当然に当該賃料増額請求の当否を争うことができるといつても、賃借人が相当額と考えた統制額以下の賃料額をそのまま供託することは危険で到底できる
おすすめサイト