行政訴訟判決

行政訴訟判決

  • ◆S54. 6.28 大阪地裁 昭和49(行ウ)33 法人税更正処分取消請求事件(10)

 

前ページへ  次ページへ

面積は、黒岩牧場の面積二四万平方メートルのうち一七万平方メートルで、本件土地の四分の一にすぎない。
ところで、土地の時価の評価において借地権価額が考慮されるのは、取引慣行によつて利用権が独立して価値のあるものとして取引の対象とされているからである。
しかし、本件の場合は山林の利用権であつてなんら対抗要件を備えるものでもなく、かつ上野市が存する地方においては山林の利用権が独立の取引の対象ともされておらない。したがつて独立の価値ある利用権ということはできずなんら時価評価において考慮する必要がない。
第三 証拠関係(省略)
○ 理由
一 課税の経緯等
請求の原因(一)、被告の主張(一)(1)(2)、同(二)(1)(ア)(ただし、真実の譲渡日付を除く)、同(二)(1)(イ)のうち被告

が本件処分をした経緯、以上については当事者間に争いがない。
二 寄付金の損金算入について
(一) 法人税法三七条六項の解釈について
法人税法三七条六項の規定により、資産の現実の譲渡価額が、譲渡の時における当該資産の価額(ここにいう価額とは、適正な価額を指すことは明らかである。以下時価という)に比して低く、その差額が実質的に贈与したと認められ、寄付金の額に算入されるためには、当該資産の譲渡の対価が時価に比して低いことを譲渡者が認識していることは必要であるが、譲渡者がその時価を正確に認識したり、したがつて、その差額の程度

を正確に認識することまでは必要ではないと解するのが相当である。以下その理由を詳述する。
(1) 本来、資産の譲渡価額をいくらと定めるかは、取引当事者の自由であり、低額で譲渡することも、私的自治の範囲に属する。そして、税法上の所得金額は、現実の譲渡価額によつて計算するのが原則である。
(2) それにもかかわらず、法人税法三七条六項(他に、類似の規定として所得税法五九条一項、相続税法七条)の規定がおかれたのは、低額譲渡は、時価との差額を贈与するのと実質的に同じであることから、低額譲渡の形式で租税回避を企図する弊害を防ぎ、公平な

前ページへ  次ページへ





おすすめサイト