行政訴訟判決
- ◆S54. 6.28 大阪地裁 昭和49(行ウ)33 法人税更正処分取消請求事件(6)
成したものと認められるので真正な公文書と推定すべき同第二二ないし第二五号証、証人I(一部)、同F(一部)、同A(一部)、同K、同J、同L、同Cの各証言を総合すると、次の事実が認められ、この認定に反する証人I、同F、同Aの各証言の一部は採用しないし、他にこの認定を覆すに足りる証拠はない。
(ア) 近鉄の開発計画は、上野市南部の丘陵地域約一、〇〇〇ヘクタールに、約一万戸分の住宅地のほか、軽工業用地、学校、幼稚園、市役所支所、銀行、公園、スポーツ広場、レジヤーセンターなどを建設しようとするものであつた。近鉄はこれにともない右開発地域の交通の便を計るため、沿線の近鉄伊賀線を複線、広軌化し、大阪、名古屋方面への直通電車の運転も計画していた。これらが完成すれば、人口約四万人の優良な住宅地が造成される予定であり、この計
画は開発計画区域内及びその近隣の地価の上昇に大きい影響を与えることが予想された。
(イ) 上野市と近鉄との間には昭和四四年二月ころ、上野市の協力の下に近鉄が開発計画を実施することにする旨の合意が成立した。右計画は同年三月二〇日に公表され、同月二一日付の伊勢新聞、中日新聞の各朝刊第一面には、この計画の詳細と上野市が近く用地の買収に入る予定である旨が大きく報じられて、市民の知るところとなつた。
(ウ) 上野市長に就任して間もないAは、同年五月ころ、大阪市内の近鉄本社を訪れ、近鉄側の買収業務を担当する近鉄不動産のM社長に会い、開
発計画に対する協力方を要請し、今後の事業の実施方法について協議した。そして、用地は近鉄が各地主から個別的に買収するのではなく、上野市が中にはいつて一括して買収する方法をとることで双方が了解した。このとき買収価額についてまだ具体的な話は出なかつた。
(エ) 上野市の職員は同年五月以降、開発計画の対象地域内の土地について、売買実例を調査するなどの方法で下準備、事前調査を行つた。右の土地は、現状や場所にさまざまな違いがあるうえ、売買実例も多くはなく、さらに、縄延び(実測面積と公簿面積の違い)もいろいろに見込まれたことから、土地の時価を
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