行政訴訟判決
- ◆S54. 6.28 大阪地裁 昭和49(行ウ)33 法人税更正処分取消請求事件(7)
把握することは容易でなかつた。昭和四三年までの売買実例は、坪当り(実測)ほぼ一、〇〇〇円から一、八〇〇円までが多かつたが、同市四十九町付近で坪当り二、五〇〇円、本件土地の南西部の伊賀パブリツクゴルフ場で坪当り三、〇〇〇円のものもあつた。
(オ) 近鉄不動産の専務取締役Cら近鉄側関係者は昭和四四年八月二六日、上野市を訪れ、開発計画の対象地域を視察した後、上野市役所でA市長、産業部長Iらと面談した。当時、買収価額についてはまだ確たる話は出ていなかつたが、上野市の側では、平均して坪当り三、四千円という希望であるらしいという程度の話がC専務の耳に入つており、右の現地視察も買収の可否や価額の決定の資料とする目的であつたのであるが、視察後の面談でも、上野市側は、坪当り三、四千円ぐらいだつたらまとめられるかもしれない旨
を話した。これに対し、Cら近鉄側は、右価額が相当であるかは縄延びがどれくらいあるかにかかつていると考えていた。
(カ) 同月二八日付中日新聞、朝日新聞には、上野市長の開発計画用地の買収に来月からとりかかりたい旨が談話が掲載された。
(キ) 近鉄及び上野市は、開発区域内の土地の全部をその具体的な優劣にかかわらず、公簿上の面積を基準とし、同一の単位価額(地上工作物を除く)で買い受ける方針をとらざるをえないとの結論に達した。したがつて、できるだけ多くの土地を一括して買収し、しかも最も地価の高い地区の土地所有者をも満足させるために
は、どうしても買受価額は高いものにならざるをえないと見込んだ。
(ク) 近鉄は昭和四四年一〇月一五日、上野市に開発計画用地の買収を委託する旨の用地買収委託契約を結んだ。その後、上野市は対象地域内の各地区で、開発計画の趣旨を説明するとともに、地主や住民の意向を把握するための説明会を順次開催し、A市長やI産業部長(同年一一月からは都市開発部長兼農地開拓部長に就任)らが出席した。右の説明会の席上では、いろいろな意見、質問が出されたが、概してなるべく高い値段で買収してほしいという意見が多かつた。
(ケ) 土地ブローカーが、昭和四四
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