行政訴訟判決
- ◆S54. 6.28 大阪地裁 昭和49(行ウ)33 法人税更正処分取消請求事件(8)
年秋ごろから開発計画による値上りを見込んで利益をあげようとし、上野市南部の土地を坪当り二、〇〇〇円ないし三、〇〇〇円で買つており、対象地域内の地価は上る気配にあつた。
(コ) 同年一一月五日に上野市役所依那古連絡所で行われた説明会の席上では、上野市側から坪当り一、五〇〇円程度ではどうかという打診があり、地主、住民側からは、それでは安すぎて到底買収に応じられない、せめて坪当り三、〇〇〇円程度でなければ難しいという返答があつた。また、同月七日の神戸地区の説明会でも、懇親会の場でN区長がI部長に坪当り三、〇〇〇円でないと話をまとめるのは難しいと言つた。
(サ) 上野市は、同年一二月末ころ、対象地域内の一部土地について、上野市産業会館名義で買収を行つた。これは同年末で適用期限の切れる租税特別措置法の資産買換
えの特例の適用を受けるために、同年内に売却したいという一部地主の意向に副つたものであつたが、最終的な買収価額が未定のために、ひとまず坪当り一、三〇〇円前後で代金を支払い、後日最終的な買収価額確定の際にはそれとの差額を支払うという特約をした。
(シ) このようにして説明会を重ねて行くうちに、同年一二月から翌昭和四五年一、二月にかけて、A市長ら上野市側担当者には徐々に一律坪当り二、五〇〇円ないし三、〇〇〇円程度でなければ全土地の一括買収はできないとの心証が形成されて行つた。そして、この額は、正式に発表されてはいなかつたものの、関係者
の間に広まつて行つた。上野市長としても地主の利益を考えるとこの額にしてほしいと考えた。
(ス) 上野市は各地区の有力者を用地買収協力委員に委嘱していたが、昭和四五年二月までの間に、所有者らの意見を聴取した各委員から坪当り三、〇〇〇円でなければ全土地の買収は困難である旨の意見が上野市に伝えられた。
(セ) 上野市産業部長Iは、同年二月近鉄不動産のL開発用地部長に対し、地元では坪当り三、〇〇〇円から四、〇〇〇円は欲しいという話があるので、どうしても坪当り三、〇〇〇円でなければ話がまとまらないと申し入れた。LはIと二、三回打ち合
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