行政訴訟判決

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  • ◆S54. 7. 3 東京地裁 昭和54(行ク)43 執行停止申立事件(18)

 

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すぎるし、疎明資料としても大学の領収書などはなく、申立人の妻からの聴取書があるにすぎない。なお、文部省に報告されたところによると、近畿大学医学部の昭和五二年度入学金は五〇万円である)。
仮に申立人が息子の入学金として七、三〇〇万円を負担したとすれば、そのこと自体申立人の裕福さを示すものであつて(通常の家庭であれば、息子の入学金として負担できるのはせいぜい数百万円が限度であろう。)、かかる負担の可能な申立人が六か月の医業停止によつて倒産し医業再開が不可能になることなどおよそ考えられないのである。
第二 申立人の昭和五四年六月二五日付け補充書(第二)第二、一、(一)及び(二)について被申立人は次のとおり主張する。
被申立人が昭和五四年六月一四日、申立人の妻に本件処分の命令書を交付した際、宮城県石巻

保健所長を通じて同妻に対しおおむね補充書(第二)添付に係る別紙の内容を伝えた事実は認める。
しかしながら、右内容は本件処分の理由そのものではなく、処分を決定するに当たつての基本的考え方を明らかにしたものである。本件処分理由は五四年六月二二日付け被申立人意見書第二、一で述べたとおり法四条二号に該当する事実である。
なお、法七条二項について付言すれば、法七条二項は、「医師が第四条各号の一に該当し、又は医師の品位を損するような行為のあつたときは、厚生大臣はその免許を取り消し、又は期間を定めて医業の停止を命ずることができる」と規定

しており、「第四条各号の一に該当」することと「医師としての品位を損するような行為のあつたとき」は、A又はBという選択的関係にある。したがつて、本件処分の如く「罰金以上の刑に処せられた者」に該当するときは、法四条二号のみに該当するものであり、当該事実が更に「医師としての品位を損する行為のあつたとき」に該当することはあり得ない。「医師としての品位を損するような行為」とは、法四条各号の一に該当しない行為であつて、かつ医師としての品位を損するような行為を指すものである。
以上

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